合宿組・回復の翌日と最終日前
翌日
海の家の大騒ぎから、一夜が明けた。
最強メンタル計画ちゃんは、朝のランニングを終えて、水筒の水を飲んだ。
昨日、みんなが起き上がった。回復した。それは本当のことだった。
今日、みんなが走っていた。
昨日より、顔が明るかった。昨日より、足が出ていた。昨日よりずっと、海の家の床が空いていた。
「みんな、元気になった」
同室の親友が、隣で言った。
「ん」
「回復効果、本物だったね」
「本物だった」
「……名前の話は?」
最強メンタル計画ちゃんは、少し間を置いた。
「名前は、説明だった」
「うん。そう思って名付けた。でも」
「でも」
「言葉の形が、スピカさんの声の形に近かった」
「……ノートに書いてたやつ」
「書いた」
「読んだ」
同室の親友は、それを聞いた。ノートに反省が書いてある。分析が書いてある。次回は名前を区別する、と書いてある。
赤ペンを出すタイミングがなかった。
全部、ちゃんと書いてあったから。
「今日は、何も作らなかった」
「うん」
「みんなが走ってるから」
「走ってるね」
「回復した」
「うん。回復した」
二人は、浜辺を歩いた。
合宿最終日前夜
夕方。海の家の裏手に立ち寄った。
薪の束が、昨日より増えていた。台座の位置が調整されて、明日の準備が整っていた。
「明日、CF」
「明日だね」
「最終日」
「最終日」
最強メンタル計画ちゃんは、薪の束を見た。
火がついたら、ぱちぱちと音がする。昨日もそれを考えた。今日も思い出す。
手が、ノートの方へ伸びかけた。
「はい」
同室の親友の手が先に来た。マシュマロだった。
「……残ってた」
「残しといた」
「……明日も?」
「明日も持っていく」
「……ありがとう」
返事はなかった。
でも、隣にいた。
薪が積まれていた。火はまだついていない。明日、最終日が来る。
「明日、普通に楽しもう」
「後輩ちゃんに言われた通り」
「そうだね」
二人は、海の方を向いた。
波の音がしていた。
夕日が、水平線に近づいていた。