最強メンタル計画V2(最前列は安全圏)
── 前回の反省を踏まえた健全・安全・段階式トレーニング ──
机の上に、ノートが一冊置かれていた。
表紙には、力強い字でこう書かれている。
最強メンタル計画V2
その文字の下には、二重線が引かれていた。
さらにその下には、小さく、しかし妙に確信に満ちた筆跡で、
前回の反省を踏まえた健全・安全・段階式トレーニング
と書かれている。
部屋の主であるウマ娘は、椅子に座ったまま腕を組んでいた。
目の前にはノート。
その横にはパソコン。
さらにその横には、黒いVRゴーグル。
どこからどう見ても、反省している者の机ではなかった。
「……前回の敗因は、はっきりしている」
彼女は、誰に聞かせるでもなく呟いた。
表情は真剣だった。
真剣すぎた。
少なくとも、傍から見れば、試験前に最後の追い込みをしている生徒の顔だった。
だが、ノートに書かれている内容は、試験勉強とはだいぶ違う。
ページの一番上には、
V1:スピカ切り抜きASMRによる聴覚耐性トレーニング
とある。
その下には、反省点が箇条書きされていた。
・音声のみだったため、想像力が暴走した。
・切り抜き編集により、スピカさんの声の破壊力が一点集中した。
・「好きです」系統の言葉を囁き配置したのは強すぎた。
・ループ再生設定は危険。
・気絶中にヘッドホンを外される可能性があるため、固定方法にも課題。
反省点の最後だけ、明らかにおかしかった。
普通なら、そこは「二度とやらない」と書くところである。
しかし彼女の中では、違った。
失敗とは、次の成功のための材料である。
挑戦し続ける者だけが、強いメンタルを手に入れる。
何度倒れても、また立ち上がる。
それこそが、ウマ娘としての強さ。
その理屈だけなら、立派だった。
ただし、向かっている方向が致命的に間違っていた。
「音声だけだったから、だめだったんだ」
彼女は深く頷いた。
「声だけだと、脳が勝手に距離を近づけてしまう。つまり、現実の距離感がない。だから暴走する。なら……」
彼女は、机の横に置いてあるVRゴーグルを見た。
「映像があればいい」
結論が速かった。
「実際のライブ会場では、スピカさんはステージにいる。私は客席にいる。つまり距離がある。距離があれば、人は冷静でいられる。これなら、メンタルトレーニングとして成立する」
彼女はノートをめくった。
── LV4という名称を疑わなかった ──
次のページには、新しい計画の全体像が書かれていた。
最強メンタル計画V2:VRライブ段階式耐性訓練
その下に、大きく四段階のレベルが記されている。
LV1:観客席距離
LV2:最前列
LV3:レース後距離
LV4:ガチ恋距離
本人は大真面目だった。
特に、LV4という名称を書いた時も、何一つ疑問を持たなかった。
「段階式なら安全。いきなり強い刺激を浴びるから危険なのであって、少しずつ慣らせばいい。これは理論的。完璧」
完璧ではなかった。
だが、本人の中では、もう勝利の方程式が完成していた。
彼女は、パソコンの画面を見る。
そこには、スピカさんのライブ映像を元にした仮想ステージのデータが表示されていた。
もちろん、完全な再現ではない。
公式に配信された映像や、許可された範囲で公開されている資料をもとに、彼女が自分なりに組み立てたものだ。
スピカさん本人を傷つける意図などない。
むしろ、敬意しかない。
敬意しかないからこそ、熱量がおかしな方向に振り切れていた。
「大丈夫。これは、スピカさんに迷惑をかけるものじゃない。あくまで私個人のメンタルトレーニング。私は強くなる。強くなって、いつかライブ会場で倒れないウマ娘になる」
目標だけ聞けば、前向きだった。
倒れる前提なのが少しおかしいだけで。
彼女はノートに、さらに細かく設定を書き込んでいく。
LV1:観客席距離
・ステージから遠い
・音量控えめ
・スピカさんの表情は細部まで見えない
・初心者向け
・安全
LV2:最前列
・実際のライブでもあり得る距離
・表情が見える
・歌声が近い
・中級
・たぶん安全
LV3:レース後距離
・出走後に声をかけてもらう距離
・危険度高
・要注意
・上級
LV4:ガチ恋距離
・目の前
・視線直撃
・ファンサ直撃
・禁忌
・まだ触らないこと
本人なりに危険度は理解していた。
だからこそ、彼女は慎重に進めるつもりだった。
「最初は当然、LV1から……」
そこで、彼女の手が止まった。
じっとノートを見る。
LV1。観客席距離。
たしかに安全そうではある。
だが、安全すぎないだろうか。
そもそも自分は、すでにスピカさんの配信を何度も見ている。
ライブ映像も見ている。
曲も聞いている。
メイクデビューで泣いた。
NEXT FRONTIERで走り出しかけた。
GIRLS' LEGEND Uで魂を揺さぶられた。
うまぴょい伝説で世界の理解が追いつかなくなった。
つまり、今さら遠い観客席距離など、訓練にならないのではないか。
「……実戦を考えるなら、LV1はウォーミングアップにもならない」
彼女は、真面目な顔で頷いた。
「ライブ会場で本当に危険なのは、最前列。つまり、LV2から始めるのが合理的」
合理的ではなかった。
だが、本人は納得した。
彼女は、ノートの端にこう書き足す。
初回テスト:LV2から開始。理由:LV1は安全すぎるため。
そして、力強く丸をつけた。
「よし」
── 最前列 ──
彼女は立ち上がり、部屋の中央を少し片付けた。
椅子の位置を調整し、万が一ふらついても倒れないようにクッションを置く。
その配慮は正しかった。
正しかったが、万が一では済まないことを本人はまだ知らない。
彼女は椅子に座り直し、VRゴーグルを手に取った。
黒いゴーグルの表面に、自分の顔がぼんやり映る。
緊張していた。
だが、怖くはない。
これは逃げではない。
これは挑戦だ。
これは、自分を鍛えるための一歩だ。
「私は、スピカさんの歌で倒れないウマ娘になる」
宣言してから、彼女はVRゴーグルを装着した。
視界が暗くなる。
次の瞬間、仮想空間が立ち上がった。
暗闇の中に、遠くから歓声が聞こえてくる。
ざわめき。
照明の音。
ステージの光。
客席を埋める無数の光。
そして、目の前に、ステージが現れた。
距離は近い。
最前列。
手を伸ばしても届くわけではない。
だが、ステージ上の表情ははっきり見える。
衣装の揺れも、髪の動きも、息を整える仕草も、すべてが見える距離。
彼女は息を呑んだ。
「……近い」
思わず声が漏れた。
しかし、まだ耐えられる。
大丈夫。
これは映像。
これは仮想空間。
実際のスピカさん本人ではない。
自分は訓練をしている。
これはメンタルトレーニング。
冷静に観察する。
呼吸を整える。
彼女は胸に手を当てて、深呼吸した。
ステージの中央に、スピカさんが立っている。
その姿を見た瞬間、彼女の耳がぴんと立った。
尻尾も少し揺れた。
だが、意識は保っている。
「大丈夫。いける。私は成長している」
自分に言い聞かせる。
やがて、曲が始まった。
最初の音が鳴る。
スピカさんが歌い出す。
その瞬間、胸の奥に熱が広がった。
聞き慣れたはずの歌。
何度も配信で聞いたはずの声。
なのに、VR空間で最前列から見ると、まるで違った。
声が近い。
表情が見える。
歌詞のひとつひとつに込められた想いが、正面から飛んでくる。
自分たちウマ娘へ向けられた、まっすぐな敬意。
勝った子だけではなく、走ったすべての子を見ている温かさ。
夢を夢のまま終わらせないという熱。
諦めかけた背中を押すような、優しくて強い声。
彼女は、椅子の肘掛けを握った。
「……耐えられる」
声が震えた。
「耐えられる。これは、耐えられる」
実際、彼女は耐えていた。
涙は出そうになった。
胸はいっぱいになった。
今すぐ外に出て走りたくなった。
だが、意識は飛んでいない。
V1のように、声だけで想像が暴走することもない。
映像があることで、逆に現実感が保たれている。
これは成功なのではないか。
彼女はそう思った。
曲が進む。
スピカさんがステージを動く。
客席へ向けて笑う。
腕を伸ばす。
歌声が明るく跳ねる。
彼女の心拍数は上がっていた。
だが、まだ大丈夫。
「いける……! やっぱり、段階式は正しかった……!」
彼女の口元に、勝利の笑みが浮かぶ。
計画は成功だ。
そんな希望が見えた、その時だった。
── 投げキッス ──
曲の終盤。
ステージの照明が一段明るくなる。
スピカさんが客席を見た。
VRの視点では、ちょうど彼女の方を見たように見える。
彼女は固まった。
「……え」
スピカさんが笑った。
優しく、楽しそうに。
そして、片手を口元へ寄せる。
軽く、客席へ向けて。
投げキッス。
それは一瞬だった。
たった一瞬のファンサだった。
現実のライブなら、客席全体へ向けたもの。
誰か一人に向けたものではない。
それくらい、頭ではわかっている。
だが、VRの最前列視点では違った。
真正面。
目が合ったように見えた。
自分に向けられたように見えた。
次の瞬間、彼女の思考は白く弾けた。
「――っ」
声にならない声が漏れる。
体から力が抜ける。
椅子の背もたれに沈み込む。
幸せそうな顔のまま、彼女は静かに意識を手放した。
それでも、VR映像は止まらなかった。
問題は、ここからだった。
彼女が設定したテストモードには、確認用の短いループが組み込まれていた。
曲の終盤。
ファンサ部分。
投げキッス。
その数秒が、繰り返し再生される。
意識を失った彼女は、しばらくして小さく身じろぎした。
「……ん……」
ゆっくりと目を開ける。
視界には、ステージ。
目の前には、スピカさん。
そして、また。
笑顔。
投げキッス。
「――」
再び、意識が飛んだ。
気絶。
覚醒。
投げキッス。
気絶。
その繰り返し。
彼女の体は椅子にもたれ、完全に脱力している。
だが、顔だけは幸せそうだった。
まるで、これ以上ない安らかな夢を見ているようだった。
── また? ──
部屋の外で、足音が近づいてくる。
がちゃり、と扉が開いた。
「ただいまー……って、また静かだね」
帰ってきたのは、同室の子だった。
彼女は鞄を肩から下ろしながら、部屋の中を見た。
机。
パソコン。
ノート。
VRゴーグル。
椅子にもたれて動かない友人。
同室の子は、数秒だけ無言になった。
それから、ゆっくり息を吸った。
「……また?」
その声には、驚きよりも諦めが混じっていた。
同室の子は、まず友人に近づいた。
VRゴーグルをつけたまま、幸せそうに気絶している。
口元はゆるみ、尻尾は小さく揺れている。
耳も時々ぴくぴく動く。
寝ているだけなら、まあいい。
だが、ゴーグルの隙間から漏れてくる音が問題だった。
微かに、スピカさんの歌声が聞こえる。
そして、数秒おきに、友人の体がびくっと震える。
その後、さらに幸せそうな顔になる。
同室の子は、何も見なかったことにしたい気持ちを必死に押し殺しながら、机の上のノートを見た。
表紙。
最強メンタル計画V2
「V2……」
同室の子は、頭を抱えた。
「V1で終わりじゃなかったの……?」
嫌な予感しかしないまま、ノートを開く。
そこには、丁寧な字で計画の概要が書かれていた。
VRライブ段階式耐性訓練
LV1:観客席距離
LV2:最前列
LV3:レース後距離
LV4:ガチ恋距離
同室の子は、そこで一度ノートを閉じた。
見なかったことにしたかった。
だが、現実は目の前にある。
同室の子は、もう一度ノートを開いた。
初回テストの欄を見る。
初回テスト:LV2から開始。理由:LV1は安全すぎるため。
「安全すぎるため、じゃないんだよ……!」
小声で叫んだ。
叫びたいが、大声を出すと友人が起きるかもしれない。
いや、起きてもまた落ちるかもしれない。
同室の子は、慎重にVRゴーグルの表示を横から覗き込もうとした。
だが、直前で本能が止めた。
見てはいけない。
これは、たぶん見てはいけないやつだ。
V1の時もそうだった。
ヘッドホンから漏れ聞こえる声だけで危なかった。
今回は映像つきである。
しかも、ノートにはLV2と書かれている。
最前列である。
同室の子は、自分の直感を信じた。
「見ない。私は見ない。救助優先」
そう呟いて、友人の肩を軽く揺らす。
「ねえ、起きて。大丈夫?」
「……ん……」
友人が少しだけ反応した。
同室の子は、ほっとしかけた。
その瞬間、VRゴーグルの中で何かが起きたらしい。
友人の体がびくっと震えた。
そして、再び力が抜ける。
「だめだこれ!」
同室の子は、すぐにVRゴーグルへ手を伸ばした。
外すしかない。
しかし、そこで予想外の抵抗があった。
気絶しているはずの友人の手が、VRゴーグルを押さえたのだ。
「えっ、嘘でしょ!?」
意識はない。
目も開いていない。
なのに、ゴーグルを外されまいとする力だけは妙に強い。
ウマ娘の本能なのか。
スピカさんのライブを止められたくない執念なのか。
あるいは、その両方なのか。
同室の子は、友人の手を引き剥がそうとした。
「離して。離してってば。これ絶対危ないやつだから」
「……まだ……いける……」
「いけてない!」
寝言のように呟く友人に、同室の子は即座にツッコんだ。
その間にも、友人の体はまたびくっと震える。
おそらく、また投げキッスか何かを食らっている。
同室の子は、焦った。
「本当に何を作ったの……!」
力任せに引っ張ると危ない。
でも、早く外さないと、またループする。
彼女は一度深呼吸し、友人の耳元で言った。
「いい? スピカさんは逃げない。映像も消えない。だから、一回休もう」
友人の手の力が、少しだけ緩んだ。
効いた。
同室の子は、その隙を逃さなかった。
「はい、ごめん!」
VRゴーグルを外す。
ぱっと視界から仮想空間が消えたのだろう。
友人の体が一度だけぴくりとした。
だが、それ以上は動かなかった。
椅子にもたれたまま、深く息を吐く。
幸せそうな顔で、今度こそ静かに眠り始めた。
── どうして毎回、危険物になるの ──
同室の子は、VRゴーグルを両手で持ったまま、しばらく固まっていた。
部屋には静けさが戻った。
パソコンの画面には、テストモード停止の表示。
机の上には、開かれたノート。
そこには、まだ何も知らない未来の事故の設計図が広がっている。
同室の子は、ノートをもう一度見た。
LV3:レース後距離。
LV4:ガチ恋距離。
背筋が冷えた。
「……LV2でこれなんだよね?」
彼女は、眠っている友人を見る。
友人は幸せそうだった。
とても幸せそうだった。
まるで、すごく良い夢を見ているようだった。
だからこそ、同室の子は余計に頭を抱えた。
「だめだ。これ、絶対だめなやつだ」
彼女はノートを閉じた。
VRゴーグルもコードを抜き、机の上に置く。
念のため、パソコンのテストプログラムも終了させた。
そして、友人の肩に毛布をかける。
怒りたい。
説教したい。
何をやっているのか問い詰めたい。
でも、今は寝かせるしかない。
気絶ループから救出されたばかりの友人は、穏やかな寝息を立てている。
同室の子は、椅子の横にしゃがみ込んだ。
「……ねえ」
もちろん、返事はない。
「強くなりたいのは、わかるよ」
小さな声だった。
「スピカさんの歌を聞いて、倒れないようになりたいのも、まあ……わからなくはないよ。私だって、ちょっとわかるし」
同室の子の耳が、少しだけ揺れた。
彼女もまた、スピカの歌に救われた一人だった。
レースで勝てない日。
自分の走りがわからなくなる日。
周囲の期待や評価が重くなる日。
そんな時、スピカの歌は、確かに背中を押してくれる。
だから、友人がそれに縋りたくなる気持ちは、理解できないわけではない。
ただ、やり方が毎回おかしい。
「でもさ……」
同室の子は、机の上のノートを見る。
「どうして毎回、危険物になるの?」
答えはなかった。
ただ、眠っている友人の尻尾が、ふにゃりと揺れた。
まるで夢の中でまだスピカさんのライブを見ているかのようだった。
── なるほど ──
その後、しばらくして友人は目を覚ました。
「……はっ!」
急に体を起こす。
そして、きょろきょろと周囲を見る。
「スピカさんは!?」
「いないよ。ここ現実」
「投げキッスは!?」
「終わったよ。というか止めたよ」
「止めた……」
友人は一瞬、衝撃を受けたような顔をした。
同室の子は、すぐに釘を刺す。
「文句言わない。あなた、完全に気絶してたからね」
「気絶……」
「それもたぶん、一回じゃない。何回も」
「何回も……」
友人は、ぼんやりと天井を見上げた。
そして、ゆっくりと呟いた。
「なるほど」
同室の子は嫌な予感がした。
「何が、なるほど?」
「LV2でこれなら、LV3以降はまだ早い」
「そこじゃない」
「……設定は、合ってた。判断ミスはLV2から始めたこと。やっぱりLV1から、丁寧に――」
「そこでもない!」
同室の子は、ついに声を大きくした。
友人はびくっと耳を立てる。
「これは封印。いい?」
「でも、メンタルトレーニングとしては可能性が――」
「封印」
「少し調整すれば――」
「封印」
「投げキッスの頻度を下げれば――」
「封印!」
同室の子の圧に、友人は口を閉じた。
しかし、目はまだ諦めていなかった。
それがわかってしまうから、同室の子はさらに疲れた顔になる。
「ノートも提出。VRゴーグルも提出。たづなさんに報告する」
「たづなさんに……?」
友人の顔が、ようやく少し青ざめた。
この言葉には、V1の時より一段強い効力があった。
V1の後、たづなさんから話を聞かれたのを覚えている。
厳重注意。
再発防止の約束。
あの静かな視線が、まだ記憶に残っている。
「……わかった」
友人は、今度はすぐに頷いた。
同室の子は、少し安心する。
だが、その安心は完全ではなかった。
友人がぽつりと言ったからだ。
「でも……投げキッスに耐えられるようになったら、本当に強くなれると思うんだよね」
同室の子は、長いため息をついた。
「わかったから、今は体を休めて」
「うん……でも、もしLV1から段階的に慣らせば――」
「今は」
「……はい」
部屋の外では、夕食の時間が近づいていた。
同室の子は立ち上がり、ゴーグルとノートを自分の鞄にしまった。
友人は、その一連の動作をじっと見ていた。
諦めの目ではなかった。
どこか、計算している目だった。
同室の子は、それに気づいた。
「……V3も、作ってはだめだよ」
「え」
「わかるから」
「……」
友人は視線を逸らした。
完全に図星だったらしい。
同室の子はもう一度ため息をつく。
LV4:ガチ恋距離。
あの欄が脳裏に浮かんで、消えなかった。
掲示板:【危険物】最強メンタル計画、V2も失敗(封印案件)
1:名無しのウマ娘
立てた
2:名無しのウマ娘
V2も……!?
3:名無しのウマ娘
えっ
4:名無しのウマ娘
V1で終わりじゃなかったの
5:名無しのウマ娘
ノートにV1って書いてあるから……って言ったじゃないか
6:名無しのウマ娘
やめてくれ
じゃあV3も来るの
7:名無しのウマ娘
概要
・VRでスピカきゅんのライブを最前列視点で視聴するメンタルトレーニング
・段階式設定(LV1観客席〜LV4ガチ恋距離)
・本人判断でLV1は安全すぎると飛ばしてLV2から開始
・ファンサ投げキッス部分でループ気絶
・同室の子が救出
8:名無しのウマ娘
LV4ガチ恋距離って何
9:名無しのウマ娘
禁忌って書いてあったらしい
10:名無しのウマ娘
本人の中でも禁忌扱いなんだ
11:名無しのウマ娘
それで「まだ触らないこと」って注釈がついてたとか
12:名無しのウマ娘
自分でゾーニングするな
13:名無しのウマ娘
段階式という概念は正しかった
14:名無しのウマ娘
LV1が安全すぎると感じた時点で引き返せ
15:名無しのウマ娘
LV1が安全すぎるということは
すでにLV1より上が日常のリスクレベル
16:名無しのウマ娘
スピカきゅんのどのコンテンツも普通に危険ということ?
17:名無しのウマ娘
そうかもしれない
18:名無しのウマ娘
V1→V2のバージョンアップ方向、聴覚から視覚へって進化としては正しいのでは
19:名無しのウマ娘
正しいが正しくない
20:名無しのウマ娘
感覚器官をひとつずつ対策していくタイプの覚悟
21:名無しのウマ娘
V3が視覚聴覚の次という意味で嗅覚に来たら
22:名無しのウマ娘
やめろ
23:名無しのウマ娘
でもあの子、そういう発想しそう
24:名無しのウマ娘
「同室の子がいないと止まらない」が固定化されてきた
25:名無しのウマ娘
そのうち同室の子がいる前提でシステムを組み始めないか
26:名無しのウマ娘
管理役として定着させようとするやつ
27:名無しのウマ娘
あり得る
普通にあり得る
28:名無しのウマ娘
ということは同室の子もそろそろ覚悟が必要では
29:名無しのウマ娘
なんの覚悟
30:名無しのウマ娘
長く付き合う覚悟