合宿の始まり

ブロロロロ……。

チャーターバスは、ゆっくりとトレセン学園の正門を離れていく。

窓の外では、見送りに来た一年生たちが手を振っていた。その中に、後輩ちゃんもいる。両手を大きく振り、少し背伸びをしながら。なぜか胸元にはノートを抱えている。

「うう……後輩ちゃん……」

最強メンタル計画ちゃんは、窓にぺたりと両手をついた。

「置いていかないでくださいって顔してる……」

「いや、普通に笑顔で手振ってるけど」

隣の同室の親友が、冷静に突っ込む。

「でも心が泣いてるかもしれない」

「泣いてるのはあんただよ」

「泣いてないもん」

「窓に映ってる顔見なさい」

「うう……」

最強メンタル計画ちゃんは、もう一度だけ窓の外を見る。後輩ちゃんは、最後までずっと手を振っていた。その姿が見えなくなり、バスが角を曲がる。校舎が遠ざかっていく。

一瞬、車内にしんみりした空気が流れた。流れた、ように見えた。

「よし」

最強メンタル計画ちゃんは、ぐっと拳を握った。

「二か月間、頑張って最強のメンタルを手に入れるぞーーーー!」

「切り替え早いね!?」

赤ペン先生がびくっと肩を跳ねさせる。

だが周囲のウマ娘たちはそれに釣られ、

「おー!」

「合宿だー!」

「海だー!」

「トレーニングだー!」

「ごはんいっぱい食べるぞー!」

と声を上げ始めた。チャーターバスの中が、一気に遠足めいた空気に変わる。


ノートが四冊と、予備案

窓の外は青空。六月の終わり。湿った風の中に、少しだけ夏の匂いが混じっている。今日から始まるのは、二か月間の夏合宿。走って、鍛えて、食べて、寝て。普段よりもずっと濃い時間を過ごす、トレセン学園の恒例行事である。

「ふふふ……」

最強メンタル計画ちゃんは、膝の上に置いた鞄を撫でた。

「合宿……新しい環境……海……砂浜……潮風……共同生活……」

「待って」

赤ペン先生の耳がぴくりと動く。

「今、危ない単語が混じってなかった?」

「え?」

「新しい環境って言った」

「言ったね」

「そのあと、何か思いつきそうな顔してた」

「してないよ?」

「してた」

「してない」

「目がノートを探してた」

「……」

「鞄に手を伸ばしかけてた」

「……」

最強メンタル計画ちゃんは、そっと鞄から手を離した。

「今日はまだ何も書いてないよ」

「今日は?」

「……」

「今日は?」

「……合宿初日だから」

「理由になってない」

赤ペン先生は、じっと親友を見る。最強メンタル計画ちゃんは、視線をそらす。

その先、通路を挟んで座っていたウマ娘が、目が合うとにこっと笑った。

「楽しみだね、合宿」

「うん!」

最強メンタル計画ちゃんも笑顔で返す。

「今年は海だもんね。砂浜トレーニングとか、坂道ダッシュとか、早朝ランニングとか!」

「うんうん!」

「あと、自由時間に海で遊べるかもだし!」

「うんうん!」

「でも、変な機材とかは持ってきてないよね?」

「……」

「ね?」

「……」

赤ペン先生の手が、すっと最強メンタル計画ちゃんの鞄に伸びる。

「確認します」

「ま、待って! プライバシー!」

「前科の前では弱い言葉だよ」

「私、信用ない!?」

「あるよ」

「ほんと?」

「善意は信用してる」

「やった」

「判断力は信用してない」

「ひどい!」

赤ペン先生が鞄を開ける。中から出てきたのは、着替え、タオル、日焼け止め、水筒、筆記用具。そして、ノート。ノート。ノート。ノート。

赤ペン先生の手が止まる。

「……ノート多くない?」

「用途別だよ」

「用途」

「トレーニング記録用」

「うん」

「食事記録用」

「うん」

「体調記録用」

「うん」

「合宿で得た気づき用」

「危ない」

「まだ危なくないよ!?」

「タイトル見せて」

「えっ」

「タイトル」

「……」

最強メンタル計画ちゃんは、そっと一冊を押さえる。赤ペン先生は、そっとその手をどける。

表紙には、丁寧な字でこう書かれていた。

『夏合宿対応型・最強メンタル&フィジカル計画 予備案』

車内の一部が、静かになった。さっきまでお菓子を食べていたウマ娘が、袋を閉じる。前の席の子が、ゆっくりと振り返る。斜め後ろから、小さな呟きが落ちた。

「……始まってた」

「まだ始まってないよ!」

最強メンタル計画ちゃんが慌てて言う。

「予備案! 予備案だから!」

「予備案ってことは本案があるんでしょ」

「ないよ!」

「じゃあこれは?」

「未来の本案候補」

「本案じゃん」

赤ペン先生は深く息を吸い、ノートを閉じた。

「合宿中のルールを決めます」

「えっ」

「一、危険物を作らない」

「うん」

「二、スピカさんの音声・画像・匂い・概念を使わない」

「概念まで!?」

「三、何か思いついたらまず私に見せる」

「うん……」

「四、後輩ちゃんに送る前に私に見せる」

「えっ」

「特に四」

「でも後輩ちゃんには近況報告を……」

「近況報告はいい。計画書を送らない」

「……」

「送らない」

「……はい」


帰ったら、後輩ちゃんにすごいと言ってもらう

最強メンタル計画ちゃんは、しゅんと耳を伏せた。だが、すぐに顔を上げる。

「でも、合宿で強くなるのは本当だよね」

「それは本当」

赤ペン先生は、表情を少しやわらげた。

「二か月あるし。普段よりきつい練習もあるし。環境も変わるし。ちゃんとやれば、きっと強くなるよ」

「うん」

「だから、変な方向に行かないで、普通に頑張ろうね」

「普通に……」

「普通に」

「普通に最強のメンタルを……」

「普通に、を前につけても危険度は下がらないよ」

「むむ……」

バスが高速道路に入る。車窓の景色が流れ、街並みが少しずつ少なくなり、緑が増え、空が広くなる。

最強メンタル計画ちゃんは、窓の外を見た。遠くに、まだ見えない海の気配がある気がした。

「……楽しみだね」

ぽつりと言う。

「うん。楽しみ」

赤ペン先生も、同じように窓の外を見る。

「いっぱい走って」

「うん」

「いっぱい食べて」

「うん」

「いっぱい寝て」

「それ大事」

「いっぱい成長して」

「うん」

「帰ったら、後輩ちゃんにすごいって言ってもらう」

赤ペン先生は、少しだけ笑った。

「それが一番の目的?」

「ち、違うよ。最強のメンタルを手に入れるのが目的」

「はいはい」

「でも、ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ、褒めてもらえたら嬉しい」

「じゃあ、ちゃんと頑張らないとね」

「うん!」

最強メンタル計画ちゃんは、拳を握る。その目はきらきらしていた。善意百パーセント。やる気百パーセント。危険性、未知数。

赤ペン先生は、その横顔を見て、ほんの少しだけ不安になった。けれど同時に、少しだけ誇らしくもあった。

この子は、いつも全力だ。方向がたまに、いや、かなり、明後日の方向に飛んでいくけれど。誰かのために。自分を変えるために。前に進もうとしている。

だからこそ、隣で赤ペンを入れる人間が必要なのだ。

「よし」

赤ペン先生は、自分の鞄から赤ペンを取り出した。

「合宿中も、ちゃんと見張るから」

「言い方!」

「ちゃんと支えるから」

「そっちがいい」

「ただし危ない案は即没」

「うう……」

その時、バスの一番後ろから誰かが声を上げた。

「ねえ、海見えてきた!」

車内がざわっと沸く。ウマ娘たちが一斉に窓へ顔を向ける。青い水平線。きらきら光る海。夏合宿の舞台が、近づいていた。

最強メンタル計画ちゃんの耳がぴんと立つ。赤ペン先生の尻尾も、少しだけ揺れる。二人は顔を見合わせ、同時に笑った。

「合宿、頑張ろうね」

「うん!」

チャーターバスは、夏の光の中を走っていく。

まだ誰も知らない。この二か月が、どれだけ濃い時間になるのか。

そして、トレセン学園に残された後輩ちゃんが、寮の机でノートを開き、

『先輩たちがいない間にできること』

と書き始めていることを。

まだ、誰も知らない。


トレセン学園スレ

【トレセン】合宿組、出発したね【嵐の前の静けさ】

レス 1〜50
1:名無しのウマ娘

合宿組、さっき出発したね。

バス見送ってきた。

なんか学園が静か。

2:名無しのウマ娘

わかる。

廊下の人口密度が急に減った。

3:名無しのウマ娘

食堂も空いてる。

平和。

4:名無しのウマ娘

平和って言葉を使うな。

フラグになる。

5:名無しのウマ娘

嵐の前の静けさってやつ?

6:名無しのウマ娘

やめろ。

7:名無しのウマ娘

でも今回は大丈夫じゃない?

例の子、合宿行ったんでしょ?

8:名無しのウマ娘

そう。

最強メンタル計画ちゃんはバスに乗った。

9:名無しのウマ娘

ノートは?

10:名無しのウマ娘

持ってた。

11:名無しのウマ娘

終了。

12:名無しのウマ娘

まだ何も始まってないのに終わらせるな。

13:名無しのウマ娘

機材は?

14:名無しのウマ娘

たぶん持ってない。

見送りの時、赤ペン先生が鞄チェックしてたらしい。

15:名無しのウマ娘

赤ペン先生、有能。

16:名無しのウマ娘

なお、ノートは複数冊あった模様。

17:名無しのウマ娘

なぜ。

18:名無しのウマ娘

用途別。

19:名無しのウマ娘

用途別って何。

20:名無しのウマ娘

トレーニング記録、食事記録、体調記録、気づき用、予備案用。

21:名無しのウマ娘

最後。

22:名無しのウマ娘

最後だけ急に不穏。

23:名無しのウマ娘

「夏合宿対応型・最強メンタル&フィジカル計画 予備案」って見えたらしい。

24:名無しのウマ娘

見えたんだ。

25:名無しのウマ娘

見えてしまったんだ。

26:名無しのウマ娘

予備案ならセーフでは?

27:名無しのウマ娘

あの子の予備案はだいたい本案の卵。

28:名無しのウマ娘

卵なら孵化するじゃん。

29:名無しのウマ娘

やめて。

30:名無しのウマ娘

でも赤ペン先生がいるから。

31:名無しのウマ娘

そう。

赤ペン先生がいる。

これは大きい。

32:名無しのウマ娘

赤ペン先生が同じバスに乗ってたの見て安心した。

33:名無しのウマ娘

学園残留組の平和は守られた。

34:名無しのウマ娘

本当に?

35:名無しのウマ娘

……。

36:名無しのウマ娘

何で黙るの。

37:名無しのウマ娘

いや、学園には後輩ちゃんが残ってるなって。

38:名無しのウマ娘

あっ。

39:名無しのウマ娘

あっじゃない。

40:名無しのウマ娘

後輩ちゃん、見送りの時すごく寂しそうだったよね。

41:名無しのウマ娘

いや笑顔だったよ。

両手でぶんぶん手振ってた。

42:名無しのウマ娘

そのあと胸元のノートをぎゅってしてた。

43:名無しのウマ娘

ノート。

44:名無しのウマ娘

ノートって言葉に反応する体になってしまった。

45:名無しのウマ娘

後輩ちゃんはいい子だから。

46:名無しのウマ娘

それはそう。

47:名無しのウマ娘

素直でいい子。

48:名無しのウマ娘

憧れの先輩がいなくて寂しいだけ。

49:名無しのウマ娘

だからこそ危ないのでは?

50:名無しのウマ娘

言うな。

レス 51〜100
51:名無しのウマ娘

先輩たちが合宿で頑張ってる。

私も何かしなきゃ。

先輩に胸を張れるように。

先輩の役に立てるように。

52:名無しのウマ娘

解像度高いのやめて。

53:名無しのウマ娘

後輩ちゃん、そういうこと言いそう。

54:名無しのウマ娘

そしてノートを開く。

55:名無しのウマ娘

開くな。

56:名無しのウマ娘

タイトルは?

57:名無しのウマ娘

「先輩たちがいない間にできること」

58:名無しのウマ娘

ありそうすぎる。

59:名無しのウマ娘

善意100%。

60:名無しのウマ娘

危険度未測定。

61:名無しのウマ娘

でも後輩ちゃんはまだ単独ではそんなに危険じゃないでしょ?

62:名無しのウマ娘

その認識、旧世界のものだよ。

63:名無しのウマ娘

旧世界って何。

64:名無しのウマ娘

最強メンタル計画ちゃん単独時代。

65:名無しのウマ娘

今は?

66:名無しのウマ娘

後輩ちゃん合流後時代。

67:名無しのウマ娘

時代区分やめて。

68:名無しのウマ娘

赤ペン先生がいない学園に、後輩ちゃんが残っている。

つまり?

69:名無しのウマ娘

やめろ。

70:名無しのウマ娘

誰が赤ペン入れるの?

71:名無しのウマ娘

たづなさん。

72:名無しのウマ娘

たづなさんの胃を酷使するな。

73:名無しのウマ娘

理事長。

74:名無しのウマ娘

むしろ加速装置。

75:名無しのウマ娘

だめだ。

76:名無しのウマ娘

でも後輩ちゃん、今日は授業終わったら普通に寮戻ってたよ。

77:名無しのウマ娘

何か持ってた?

78:名無しのウマ娘

ノート。

79:名無しのウマ娘

それはもう標準装備。

80:名無しのウマ娘

あと購買で文房具買ってた。

81:名無しのウマ娘

何を?

82:名無しのウマ娘

付箋と色ペン。

83:名無しのウマ娘

まだセーフ。

84:名無しのウマ娘

大判の模造紙も。

85:名無しのウマ娘

アウト寄り。

86:名無しのウマ娘

企画会議する気じゃん。

87:名無しのウマ娘

一人で?

88:名無しのウマ娘

一人ブレスト。

89:名無しのウマ娘

止めにくいやつ。

90:名無しのウマ娘

後輩ちゃんが悪いことするわけないだろ!

91:名無しのウマ娘

誰も悪いことするとは言ってない。

92:名無しのウマ娘

善いことをしようとして大変なことになるって言ってる。

93:名無しのウマ娘

いつものやつ。

94:名無しのウマ娘

いつものやつって言えるほど事例が積み上がってるの嫌だな。

95:名無しのウマ娘

ところで合宿先、大丈夫かな。

96:名無しのウマ娘

海だっけ。

97:名無しのウマ娘

海。

98:名無しのウマ娘

砂浜、潮風、日差し、汗、自由時間。

99:名無しのウマ娘

素材が多い。

100:名無しのウマ娘

素材って言うな。

レス 101〜150
101:名無しのウマ娘

日焼け止めはもうやったよね?

102:名無しのウマ娘

やった。

103:名無しのウマ娘

じゃあ大丈夫か。

104:名無しのウマ娘

なぜ同じカテゴリを二度やらないと思った?

105:名無しのウマ娘

やめろ。

106:名無しのウマ娘

改良版。

107:名無しのウマ娘

やめろ。

108:名無しのウマ娘

合宿対応型。

109:名無しのウマ娘

やめろって。

110:名無しのウマ娘

海辺専用。

111:名無しのウマ娘

やめろって言ってるでしょ!

112:名無しのウマ娘

赤ペン先生がいるから……。

113:名無しのウマ娘

赤ペン先生、合宿中ずっと隣にいられるわけじゃないんだよ。

114:名無しのウマ娘

トレーニング別メニューとかあるしね。

115:名無しのウマ娘

自由時間もあるしね。

116:名無しのウマ娘

夜もあるしね。

117:名無しのウマ娘

夜にノート開くのやめて。

118:名無しのウマ娘

合宿所の机、広そう。

119:名無しのウマ娘

やめろ。

机の広さを与えるな。

120:名無しのウマ娘

でも工具ないんでしょ?

121:名無しのウマ娘

砂浜に何がある?

122:名無しのウマ娘

砂。

123:名無しのウマ娘

海水。

124:名無しのウマ娘

貝殻。

125:名無しのウマ娘

流木。

126:名無しのウマ娘

太陽。

127:名無しのウマ娘

風。

128:名無しのウマ娘

自然素材だけで何か作れそうなラインナップやめて。

129:名無しのウマ娘

さすがに自然素材だけなら安全では?

130:名無しのウマ娘

その油断で何度やられた?

131:名無しのウマ娘

花。

132:名無しのウマ娘

あっ。

133:名無しのウマ娘

あの花。

134:名無しのウマ娘

夜だけ少し光る花。

135:名無しのウマ娘

まだ咲いてるらしいね。

136:名無しのウマ娘

思い出させるな。

137:名無しのウマ娘

学園残留組、つまり温室監視組でもある。

138:名無しのウマ娘

温室は専門の人が見てるから。

139:名無しのウマ娘

専門の人たちも震えてるから。

140:名無しのウマ娘

今年の夏、何も起きないといいね。

141:名無しのウマ娘

それ言った瞬間、廊下の向こうで後輩ちゃん見かけた。

142:名無しのウマ娘

何してた?

143:名無しのウマ娘

にこにこしながらノート抱えてた。

144:名無しのウマ娘

普通。

145:名無しのウマ娘

その後、掲示板見てた子に

「先輩たちが帰ってきた時、びっくりして喜んでくれることって何だと思いますか?」

って聞いてた。

146:名無しのウマ娘

あっ。

147:名無しのウマ娘

あっ。

148:名無しのウマ娘

あっ。

149:名無しのウマ娘

誰か止めて。

150:名無しのウマ娘

何て答えたの?

レス 151〜200
151:名無しのウマ娘

「元気におかえりって言うだけで嬉しいと思うよ」って言った。

152:名無しのウマ娘

偉い。

153:名無しのウマ娘

えらすぎる。

154:名無しのウマ娘

命を救った。

155:名無しのウマ娘

そしたら後輩ちゃん、

「なるほど……日常の中の安心感……」

ってメモしてた。

156:名無しのウマ娘

なぜメモする。

157:名無しのウマ娘

不穏ワード:日常の中。

158:名無しのウマ娘

安心感もあの子たちにかかると危険物になる。

159:名無しのウマ娘

まさか。

160:名無しのウマ娘

おかえり補助装置?

161:名無しのウマ娘

やめろ。

162:名無しのウマ娘

自動で「おかえりなさい先輩!」って言ってくれる何か?

163:名無しのウマ娘

本人が言えばいいだろ!

164:名無しのウマ娘

本人の声を録音して空間演出する?

165:名無しのウマ娘

なぜ空間演出する。

166:名無しのウマ娘

先輩が帰ってきた瞬間、寮の部屋が優しい光に包まれる。

167:名無しのウマ娘

やめろ。

光る花の技術を混ぜるな。

168:名無しのウマ娘

香りもつける?

169:名無しのウマ娘

つけるな。

170:名無しのウマ娘

あたたかい風も。

171:名無しのウマ娘

4DXに戻るな。

172:名無しのウマ娘

結局全部混ざるじゃん。

173:名無しのウマ娘

五感コンプリート再び。

174:名無しのウマ娘

後輩ちゃん単独でそこまで行かないよね?

175:名無しのウマ娘

先輩の背中を見て育ってるからなあ。

176:名無しのウマ娘

やめて。

いい話みたいに言わないで。

177:名無しのウマ娘

でも実際、後輩ちゃんは先輩のこと大好きだからね。

178:名無しのウマ娘

尊敬してるよね。

179:名無しのウマ娘

救われたからね。

180:名無しのウマ娘

そこは本当にいい話なんだよ。

181:名無しのウマ娘

だからこそ、普通に幸せになってほしい。

182:名無しのウマ娘

普通に。

183:名無しのウマ娘

普通に、が一番難しい世界。

184:名無しのウマ娘

ねえ、今ちょっと見てきた。

185:名無しのウマ娘

何を。

186:名無しのウマ娘

後輩ちゃん、寮の自室で模造紙広げてた。

187:名無しのウマ娘

早い。

188:名無しのウマ娘

まだ出発して数時間だよ?

189:名無しのウマ娘

タイトルは?

190:名無しのウマ娘

遠目でしか見えなかったけど、たぶん

「おかえり先輩計画」

191:名無しのウマ娘

かわいい。

192:名無しのウマ娘

かわいいけど怖い。

193:名無しのウマ娘

かわ怖い。

194:名無しのウマ娘

目的は健全。

195:名無しのウマ娘

手段が未知数。

196:名無しのウマ娘

模造紙の右端に「安全」って大きく書いてあった。

197:名無しのウマ娘

安全って書く時点で危険なんだよ。

198:名無しのウマ娘

その下に「赤ペン先生がいないので自分で確認」って。

199:名無しのウマ娘

だめだ。

200:名無しのウマ娘

セルフ赤ペンは危険

レス 201〜250
201:名無しのウマ娘

赤ペン先生の代わりは赤ペン先生にしかできない。

202:名無しのウマ娘

今すぐ通報?

203:名無しのウマ娘

たづなさんに?

204:名無しのウマ娘

まだ何も起きてないし……。

205:名無しのウマ娘

何か起きてからでは遅いって何回学んだ?

206:名無しのウマ娘

うっ。

207:名無しのウマ娘

とりあえず見守り班作ろう。

208:名無しのウマ娘

学園残留組による後輩ちゃん見守り班?

209:名無しのウマ娘

目的は妨害じゃなくて保護。

210:名無しのウマ娘

後輩ちゃんを?

211:名無しのウマ娘

学園を。

212:名無しのウマ娘

両方だよ。

213:名無しのウマ娘

見守り班ルール。

一、ノートを奪わない。

二、危険ワードが出たらやんわり話題を変える。

三、スピカさん関連素材を与えない。

四、理事長に話を通す前にたづなさんへ。

214:名無しのウマ娘

四が重要すぎる。

215:名無しのウマ娘

理事長に先に行くと「興味深いッ!」になる。

216:名無しのウマ娘

そして金庫が増える。

217:名無しのウマ娘

もう金庫いくつあるの?

218:名無しのウマ娘

数えるな。

219:名無しのウマ娘

合宿組は海へ。

赤ペン先生は向こう。

後輩ちゃんは学園。

理事長はたぶん好奇心。

たづなさんは胃痛。

220:名無しのウマ娘

布陣が悪い。

221:名無しのウマ娘

でも合宿中、学園残留組にも日常はあるんだよね。

222:名無しのウマ娘

授業もある。

トレーニングもある。

レースに向けて頑張ってる子もいる。

223:名無しのウマ娘

そうそう。

平和に過ごそう。

224:名無しのウマ娘

平和に。

225:名無しのウマ娘

平和に、おかえり先輩計画を見守ろう。

226:名無しのウマ娘

平和とは。

227:名無しのウマ娘

あ、後輩ちゃんからメッセ来た子いる?

228:名無しのウマ娘

何て?

229:名無しのウマ娘

「先輩たちが安心して帰ってこられるように、私も頑張ります!」だって。

230:名無しのウマ娘

いい子。

231:名無しのウマ娘

本当にいい子。

232:名無しのウマ娘

泣ける。

233:名無しのウマ娘

なお、添付画像。

234:名無しのウマ娘

何。

235:名無しのウマ娘

模造紙。

236:名無しのウマ娘

見せて。

237:名無しのウマ娘

無理。

手書きで右上にでかく

「最強おかえり環境構築案」

って書いてある。

238:名無しのウマ娘

進化した。

239:名無しのウマ娘

おかえり先輩計画から進化してる。

240:名無しのウマ娘

数時間で?

241:名無しのウマ娘

嵐、もう沖に見えてない?

242:名無しのウマ娘

まだ静か。

まだ静かだから。

243:名無しのウマ娘

静かな海ほど怖い。

244:名無しのウマ娘

合宿先も海なんだよなあ。

245:名無しのウマ娘

学園にも海が来るな。

246:名無しのウマ娘

意味がわからないのに怖い。

247:名無しのウマ娘

とりあえず、たづなさんに共有しとく?

248:名無しのウマ娘

うん。

249:名無しのウマ娘

件名どうする?

250:名無しのウマ娘

「緊急ではありませんが、念のため」

レス 251〜300
251:名無しのウマ娘

それ、たづなさんが一番嫌いなやつ。

252:名無しのウマ娘

本文一行目は?

253:名無しのウマ娘

「後輩ちゃんが計画を始めました」

254:名無しのウマ娘

緊急じゃん。

255:名無しのウマ娘

送った。

256:名無しのウマ娘

返信きた?

257:名無しのウマ娘

早い。

258:名無しのウマ娘

何て?

259:名無しのウマ娘

「すぐ確認します」

260:名無しのウマ娘

たづなさん……。

261:名無しのウマ娘

ありがとう、たづなさん。

262:名無しのウマ娘

ごめんね、たづなさん。

263:名無しのウマ娘

合宿組が出発して、学園は静かになった。

264:名無しのウマ娘

静かになったはずだった。

265:名無しのウマ娘

嵐の前の静けさ。

266:名無しのウマ娘

いや。

267:名無しのウマ娘

もう気圧、下がり始めてる。