合宿中・学園側(最強引継ぎ計画V3・たづなさんへの感謝クッキー)
「最強引き継ぎ計画V3・応用編、自由研究」
一方その頃。
トレセン学園の寮の一室で、後輩ちゃんは机に向かっていた。目の前には開かれた教科書とノート。シャープペンの先が紙の上を走り、時折、うんうんと小さく頷く。
「……よし」
最後の一問を書き終えると、後輩ちゃんはペンを置いた。軽く背伸びをする。
先輩たちが夏合宿へ旅立ってから、もう一週間が経っていた。
最初は寂しかった。朝起きても、廊下でばったり会うことはない。放課後に部屋へ行っても、いつもの二人はいない。連絡は取っているし、夜には合宿先の話も聞ける。それでも、やっぱり少しだけ胸の奥が空っぽになるような気がしていた。
けれど。
「……えへへ」
後輩ちゃんは机の端に置いていた一冊のノートを、そっと抱き寄せた。
『最強引き継ぎ計画』
先輩から渡された、大切なノート。これがある。だから今は、寂しいだけではなかった。
先輩は合宿先で頑張っている。自分もここで頑張る。そう思えるだけで、胸の奥がぽかぽかした。
ノートを開く。V1。クッキー。V2。飲み物。その次のページは、まだ開いていなかった。
あの後は、トレーニングも課題も忙しかった。日々はとても充実していた。夜には先輩とも連絡を取っている。でも今日は、課題が思ったより早く終わった。
「……そうだ」
後輩ちゃんの目が輝いた。今なら、次を見てもいいのではないか。
どきどきしながら、まだ見ていなかったページへ指をかける。そして、めくった。
「…………」
固まった。
ページは、ほとんど空白だった。見開きの左側に、大きなタイトルらしきものがある。その下に、少しだけ文字がある。けれど、右側はほぼ真っ白。
「もしかして……」
後輩ちゃんの声が震える。
「前のページで、終わりなのですか……先輩……?」
視界が、じわりと滲んだ。
終わり。そんな言葉が頭をよぎる。このノートは、先輩からもらった宝物だった。まだまだ続くと思っていた。もっともっと、先輩の考えが詰まっていると思っていた。なのに。
「……うぅ」
涙で文字がよく見えないまま、後輩ちゃんは次のページをめくった。
そこには。
びっしりと文字と図形が詰まっていた。
「……え?」
涙ぐんでいた目ではよく見えなかったが、明らかに何かが書いてある。
もう一度、前のページへ戻る。白紙が目立つページ。涙をぬぐい、今度はしっかりとタイトルから読んだ。
『V3 応用編! 自由研究!』
「自由、研究……?」
タイトルの下には、こう書いてあった。
『V1でクッキー、V2で飲み物を成功させた後輩ちゃんなら、その経験で新しいことができるはず!』
『でも、なんでもは難しいから、テーマは食べ物!』
『後輩ちゃんなら大丈夫! 安心安全! できる!』
最後には、どこか先輩を彷彿とさせる顔文字が添えられていた。
別の涙が出た。
「先輩……」
信じてもらえている。先輩は、自分に続きを任せてくれた。
白紙の理由もわかった。これは、書き込むための空白だ。自分が考えた自由研究を、このページに書く。そして確認してもらう。そのための空白。
「流石です、先輩……!」
後輩ちゃんは胸の前で小さく拳を握った。
何をしよう。自分も、誰かのために何かしたい。
誰か、と考えてみると、不思議なことに顔がいくつか浮かんだ。
最初に浮かんだのは、スピカさん。でも、すぐに首を横に振る。恐れ多い。自分がスピカさんに何かを届けるなんて、まだずっと先の話だ。
次に先輩。けれど合宿中だ。
赤ペン先生。先輩と一緒にいる。
ほかは——。
後輩ちゃんは少しだけ考えた。そして、ひとつの顔が浮かんだ。
「……たづなさん」
たづなさんは、いつも忙しそうだ。理事長に振り回されている。書類の山。廊下を足早に歩く姿。それでも、誰かが困っていたら必ず立ち止まる。
V1クッキーの時も、そうだった。
怒られると思っていた。でも、たづなさんは怒らなかった。ただ静かに話を聞いて、「次からは、配る前に確認を取ってくださいね」と言ってくれた。声は穏やかで、目線も優しかった。ノートだって、自分が見た範囲しか確認しない。きっと、自分の気持ちを気遣ってくれているのだと思う。
その時、後輩ちゃんはじんわり思った。この人に、いつかちゃんとお礼をしたい、と。
たづなさんは、今も学園にいる。
「感謝の気持ちを込めて、何かしたいです」
後輩ちゃんは、たづなさんのことを思い浮かべる。いつも忙しそうにしている。理事長に振り回されている。書類仕事も多い。きっと疲れも溜まっているはず。
「うん。疲労回復できるものにしましょう!」
方向性は固まった。
クッキーは良かったと言ってもらえた。ただ、香味がスピカさんを連想させて危ないから駄目だった。ならば、普通の匂いで、ほのかに香る程度なら安心安全。味も複数用意した方が、楽しめるはず。
飲み物で学んだ。組み合わせには、相乗効果がある。
後輩ちゃんは真剣な表情でノートに書き込んでいった。材料。目的。味の方向性。食べる順番。想定される効果。注意事項。
気づけば、白紙だったページは文字で埋まっていた。
「できました」
満足そうに頷く。その時、ふと指を顎に当てた。
「……うーん。でも、食べ続けると胃もたれするでしょうか」
たづなさんは忙しい。疲れている時に甘いものやしょっぱいものを食べるのは良いとしても、胃に負担がかかってはいけない。
「そうだ。少しだけ胃に優しい要素も入れましょう」
書き足そうとする。しかし、余白がない。
「……ここなら」
後輩ちゃんはページの端、ちょうど付箋を貼るあたりに、小さく追記した。本人としては、ちゃんと書いたつもりだった。場所が少し悪かっただけである。
数時間後。家庭科室。
テーブルの上には、細長いクッキーが並んでいた。
白い包み。水色の包み。ピンクの包み。味がわかりやすいように、それぞれ色を変えてある。
後輩ちゃんは満足そうに両手を合わせた。
「できました!」
ノートには、今回のページを開きやすいように付箋を貼ってある。試作品もある。あとは、たづなさんに見てもらうだけ。
後輩ちゃんはノートとクッキーを大事に抱えて、理事長室へ向かった。
「失礼します」
ノックのあと、扉を開ける。理事長は合宿の方へ行っているため、部屋にはたづなさんが一人で事務仕事をしていた。机の上には書類の山。その前で、たづなさんはすっと顔を上げた。
「はい。どうしましたか?」
「たづなさん!」
後輩ちゃんは一歩前へ出る。そして、ノートと包みを差し出した。
「日頃の感謝です!」
たづなさんの動きが、ほんの少しだけ止まった。その目が、ノートを見る。クッキーを見る。もう一度、後輩ちゃんを見る。
少しだけ身構えてしまうのは、仕方のないことだった。
「……ありがとうございます」
それでも、たづなさんは柔らかく微笑んで受け取った。
「まず、ノートを見ますね」
「はい!」
期待に満ちた後輩ちゃんの目。たづなさんは付箋の貼られたページを開いた。
材料。手順。目的。疲労回復。塩分補給。香りは通常の食品由来。スピカさん要素なし。問題ない。少なくとも、見えている範囲では。
たづなさんは慎重に読み進めた。
「……成分は、特に問題なさそうですね」
「本当ですか!」
「ええ。よく考えられています」
後輩ちゃんの顔がぱあっと明るくなる。その表情を見て、たづなさんの警戒心も少し緩んだ。
恐る恐る、白い包みのクッキーに手を伸ばす。包みを開ける。細長いクッキーを口に運ぶ。
サクッ。
「……塩味ですね」
「はい! 汗をかいたあとや疲れている時にいいかなって!」
少しだけしょっぱい。けれど、しつこくない。食べやすい。今のところ、問題はない。
次に、水色の包みを開ける。
サクッ。
ほのかにレモンの香りが広がった。塩とレモン。疲労回復の定番。だからこそ、疲れた体にじんわりと染み渡る。
「美味しいですね」
自然に、たづなさんはそう口にしていた。
「よかったです!」
後輩ちゃんは嬉しそうに笑う。
たづなさんは白と水色を交互に食べた。塩味とレモン。二つの異なる味が、心地よく噛み合う。目を閉じても、特にスピカさんを連想することはない。普通に美味しい。普通に疲れた体に優しい。
これは、素晴らしいのではないか。
「よくできています。素晴らしいですね」
「ありがとうございます!」
後輩ちゃんの耳と尻尾が嬉しそうに揺れた。
しかし、たづなさんには急ぎの事務仕事があった。申し訳なさそうに、ノートを閉じる。
「すみません。このあと急ぎの書類を片付けないといけなくて……後で詳しく見ますので、ノートを少し預かってもいいですか?」
「ノートを、ですか?」
「はい。見終わったら、すぐにお部屋へ持っていきます」
後輩ちゃんは一瞬だけ迷った。けれど、すぐに頷いた。
「はい! お願いします!」
信頼。その言葉がぴったりくる返事だった。たづなさんは、少しだけ胸が温かくなるのを感じた。
「ありがとうございます」
後輩ちゃんはぺこりと頭を下げて、理事長室を出ていった。扉が閉まる。
静かになった室内で、たづなさんは事務仕事へ戻った。ペンを走らせる。書類を確認する。判を押す。
しばらくして、ふと視線がテーブルへ向いた。そこには、まだ一つ包みが残っていた。
ピンクの包み。
「そういえば、あと一つ味があるのでしたね」
先ほどの二つは問題なかった。ノートにも問題はなかった。ならば、これも確認しておいた方がいい。
たづなさんはピンクの包みを開けた。口に含む。
サクッ。
苺味だった。ほのかに広がる苺の香り。甘すぎず、優しい味。
「……よくできています」
思わず嬉しそうに呟く。そのまま、飲み込んだ。
飲み込んでしまった。
次の瞬間。
胸の奥から、ふわりと香りが広がった。
「……え?」
たづなさんは固まった。口の中ではない。鼻先でもない。内側から、安らぐような香りが広がっている。呼吸をするたびに、体の奥から優しい空気が満ちていく。
「なんで……?」
慌ててノートを開く。問題はなかったはず。材料も、手順も、香りも、すべて確認した。
そこで、気づいた。
付箋。付箋が貼ってある場所に、何か小さく書いてある。
たづなさんはゆっくりと付箋をめくった。
そこには。
『胃にも優しく、三つ食べると相乗効果!』
「…………」
まずい。たづなさんは理解した。あの子は、スピカさん成分がなくても、どこからか何かを生やすタイプの子だ。
呼吸をするたび、癒しの空気が広がる。塩とレモンで体が癒されている。苺の優しい香りが、心を緩めてくる。
スピカさんは関係ない。関係ないはず。意識しない。意識してはいけない。
たづなさんは必死に耐えた。
しかし、視界の端に包み紙が映った。
白。水色。ピンク。三色の包み。
それは、ライブ会場のペンライトを想像するには十分だった。
「あ……」
スピカさんのステージ。光の海。優しい歌声。ウマ娘たちへ向けられた、まっすぐな言葉。
脳裏に浮かんだ瞬間、たづなさんの抵抗は限界を迎えた。
机に置いた手から力が抜ける。椅子にもたれる。
そして、たづなさんは静かに意識を手放した。
しばらくして。
「……はっ」
たづなさんは目を覚ました。
理事長室。机。書類。ノート。クッキーの包み。状況を思い出す。
「……やってしまいました」
けれど、体は驚くほど軽かった。肩の重さが取れている。目の疲れも少し和らいでいる。胃もたれもしない。むしろ、調子がいい。
効果そのものは、本当に悪くなかった。
問題は、発動の仕方と、導線と、見落としと、相乗効果と、あの子の善意である。
たづなさんは静かにペンを取った。ノートを開く。そして、赤ではなく、いつもの落ち着いた筆跡で書き込んでいく。
『付箋の下に文字が隠れないようにしましょう』
『香りが後から発生するのは驚くので、事前にわかる形にしましょう』
『相乗効果がある場合は、必ず大きく書きましょう』
『三種類すべて食べる前提の効果は、単体効果とは分けて記載しましょう』
書かれた内容は、学生の発想を潰すものではなかった。正しい道へ修正するためのものだった。
最後に、たづなさんは少しだけ迷ってから、付箋を一枚取った。そこに、短く書く。
『疲れが取れました。ありがとうございます』
それをノートの端に貼る。そして、少しだけ困ったように、けれど優しく微笑んだ。
「……本当に、困った子たちですね」
理事長室には、まだほんの少しだけ、優しい苺の香りが残っていた。
トレセン学園スレ
【朗報?】後輩ちゃん、ちゃんと相談できるようになる【悲報?】
レス 1〜50
聞いて。
後輩ちゃんがまた何か作ったらしい。
解散。
終わりだよ。
合宿組がいないから平和って言った子、出てきなさい。
でも今回はちゃんとたづなさんに見せに行ったらしいよ。
成長してる……!
えらい!
後輩ちゃんえらい!
ちゃんと相談できてる!
じゃあ安心だね!
その言葉、何回裏切られた?
今回は食べ物らしい。
はい。
はいじゃないが。
前回クッキーと飲み物で成功体験積んじゃったからね。
成功……?
おいしかったから成功。
被害は?
おいしかったから成功。
目を逸らすな。
今回は何を作ったの?
疲労回復クッキー。
普通にほしい。
それは普通にほしい。
塩味、レモン味、苺味の三種類だって。
かわいい。
普通に売店に置いてほしい。
待て。
三種類?
あっ。
相乗効果の気配がした。
もう相乗効果って言葉が怖い。
組み合わせるな高校校歌、斉唱。
組み合わせるなー
単体で出せー
説明は大きく書けー
歌うな。
いやでも今回はちゃんとノートに書いてあったんでしょ?
書いてあったらしい。
じゃあセーフ!
付箋の下に。
アウト。
なぜそこに書いた。
余白がなかったんだって。
余白を作れ。
タイトル:V3 応用編!自由研究!
本文:後輩ちゃんなら大丈夫!安心安全!できる!
先輩の信頼が重い。
先輩の善意と後輩ちゃんの善意が合体している。
最強の危険物生成条件じゃん。
で、どうなったの?
たづなさんが試食した。
勇者。
学園最後の砦。
白い包み、塩味。
水色の包み、レモン味。
ここまでは普通においしかったらしい。
レス 51〜100
優秀では?
塩とレモンは疲労回復によさそう。
普通にアスリート向け。
後輩ちゃん、方向性は本当にまともなんだよね。
方向性は。
問題は?
ピンクの苺味を食べて、三種類コンプリート。
あっ。
発動条件満たした。
クエストじゃないんだぞ。
三つ食べると、胃に優しく、癒しの香りが内側から広がる相乗効果が発生したらしい。
内側から?
内側から。
食べ物でそんなことある?
あの子たちの「ある?」は信用するな。
でもスピカさん成分はないんでしょ?
ない。
じゃあ安全では?
包み紙が白、水色、ピンク。
ん?
ライブのペンライトみたいだったらしい。
生えた。
スピカさん成分、生えた。
何もないところから連想で生やすな。
でもわかる。
わかるな。
白と水色とピンクが視界に入って、疲れた体が癒されて、呼吸するたび優しい香りがして、そこでスピカさんのライブを思い出したら?
気絶する。
気絶するね。
たづなさんも?
静かに意識を手放したらしい。
たづなさああああああん!
学園最後の砦が!
でも起きた後、めちゃくちゃ体調よかったらしい。
朗報では?
疲労回復は成功してるの草。
効果だけ見ると大成功。
使用方法が危険。
いつもの。
たづなさん、ノートにちゃんと添削したらしいよ。
怒った?
怒ってない。
「付箋の下に文字が隠れないようにしましょう」
「香りが後から発生するのは驚くので避けましょう」
「相乗効果は大きく書きましょう」
って書いてたらしい。
教育者だ……。
発想は潰さない。
たづなさん優しい。
最後に付箋で
「疲れが取れました。ありがとうございます」
って返したらしい。
泣いた。
優しい世界。
優しい世界なんだけど、たづなさんが気絶してるんだよなぁ。
疲れが取れたならセーフ。
レス 101〜150
セーフかなぁ!?
後輩ちゃん、褒められてめちゃくちゃ喜びそう。
そして改善版を作る。
やめろ。
次は付箋に隠れないように大きく書くね!
成長してる。
香りも後からじゃなくて最初からわかるようにするね!
成長してる。
三種類じゃなくて四種類にして、組み合わせ表も作るね!
成長するな。
違う、そうじゃない。
赤ペン先生、早く帰ってきて。
合宿組「最近平和だねー」
学園組「たすけて」
片方で何かあればもう片方は大丈夫理論、崩壊。
学園でも起きるし、合宿でも起きる。
世界に安全地帯はない。
でも後輩ちゃんはちゃんと相談したし、たづなさんもちゃんと添削した。
これは大きな一歩では?
それは本当にそう。
問題児ではあるけど、善意しかないんだよね。
誰かのために何かしたい、が出発点なの本当に良い子。
だから止めにくい。
善意100%の突破力。
先輩とは違うタイプの危険性がある。
先輩:発想と技術で突破する。
後輩ちゃん:信頼と善意で突破する。
赤ペン先生:止める。
たづなさん:受け止める。
理事長:試す。
最後の人が一番危険。
理事長が帰ってきたら試作品見つけそう。
やめろ。
白、水色、ピンクの包みを見て「ほう!綺麗だな!」って言う理事長が見える。
そのまま三種類食べる理事長が見える。
そして倒れる。
たづなさんがもう回収済みであってくれ。
たづなさんなら回収してる。
でも「疲れが取れた」の一文を見た理事長が興味を持つ可能性。
隠せ。
ノートを隠せ。
でも後輩ちゃんの大事なノートだから勝手に隠せない。
優しい世界が危険を増やす。
結論:後輩ちゃんは成長している。
結論2:たづなさんは優しい。
結論3:相乗効果は大きく書け。
結論4:白、水色、ピンクは危険。
結論5:スピカさん成分は生える。
生えるな。
でも、ちょっと食べてみたい。
わかる。
疲れ取れるんだよね?
美味しいんだよね?
やめろ、列を作るな。
レス 151〜200
売店に置かれたら買う。
だから売るな。
名前は?
「たづなさんありがとうクッキー」
かわいい。
かわいいけど被害者名を商品名にするな。
「疲れが取れましたクッキー」
事実。
「相乗効果注意クッキー」
注意書きが商品名。
「付箋の下に書くなクッキー」
教訓。
後輩ちゃん、次はちゃんと大きく書くと思う。
そして大きく書いた上で新しい事故が起きる。
成長しても事故が消えないの、もう才能だよ。
でも今回、たづなさんが「ありがとうございます」って返したの本当に良い。
うん。
叱るだけじゃなくて、感謝も返すのがたづなさん。
後輩ちゃん、もっと頑張ろうって思うね。
それが問題なんだよなぁ。
でも、頑張る方向を少しずつ修正できれば、普通にすごい子になるのでは?
もうすでにすごい子ではある。
すごい方向が危ないだけ。
合宿先の先輩に報告したらどうなるかな。
先輩「後輩ちゃん、すごい……!」
赤ペン先生「待って」
親友ちゃん「待って」
たづなさん「待ってください」
三方向から待ってが飛ぶ。
なお本人たちは善意。
善意ってこわいね。
でも好き。
なんだかんだ、みんな後輩ちゃん好きだよね。
そりゃそう。
良い子だもん。
良い子なんだよ。
良い子なんだけどなぁ……。
この「良い子なんだけどなぁ」がトレセンの合言葉になりつつある。
先輩にも使われてる。
後輩にも使われる。
赤ペン先生の胃が心配。
たづなさんの胃も心配。
でも今回、胃に優しい要素入ってるから。
そういう問題じゃない。
胃には優しい。
心には強い。
名言っぽく言うな。
とりあえず今回の教訓。
付箋の下は危険。
あと相乗効果。
あと白水色ピンク。
あとスピカさん。
結局スピカさんじゃん。
レス 201〜250
スピカさんは何もしてない。
いつもの。
スピカさん本人不在で発生するスピカさん成分。
概念災害かな?
でも疲れは取れる。
だからそれが一番厄介なんだって。
企業スレ
【人材育成】新人が一人前になる瞬間っていいよね【なお】
レス 1〜50
新人がさ。
自分で考えて、自分で企画して、自分で形にして、ちゃんと上司や先輩に確認を取るようになる瞬間ってあるじゃん。
ある。
いいよね。
わかる。
雛鳥が若鳥になって羽ばたく瞬間。
美しい。
感動する。
なお、羽ばたいて飛んだのはドラゴンかもしれない。
急に火を吹くな。
比喩が不穏。
でも今回の後輩ちゃん、ちゃんと相談したんでしょ?
した。
偉い。
めちゃくちゃ偉い。
企画書を見せる。
試作品を少量だけ持っていく。
対象者を明確にする。
日頃の感謝という目的もある。
新人としては満点に近い。
食品開発の初期段階としてもかなり良い。
問題は?
三種類食べたら内側から癒しの香りが広がる。
なんで?
なんで?
なんで食品でそんな機能が?
胃に優しくしようとした結果らしい。
胃に優しくしたら内側から香りが広がるの?
普通は広がらない。
普通を基準にするな。
そこまで来たか……。
いや、でも考え方はちゃんとしてるんだよ。
塩分補給、レモンの疲労回復感、苺の食べやすさ、胃への配慮。
全部、相手のことを考えてる。
完全に善意。
そこがすごい。
そこが怖い。
新人が一人前になったというより、研究主任候補が目覚めた感じ。
いや、研究主任なら報告書の余白に重要事項を書かない。
そこは新人。
かわいいミス。
かわいいミスでたづなさんが落ちたんだが。
落ちたけど疲労は回復した。
効果は出ている。
怖い言い方するな。
食品メーカーだけど、普通に欲しい。
疲れてる時に塩レモン苺で体が軽くなるクッキーとか売れる。
製薬寄りだけど、作用機序を知りたい。
香料メーカーだけど、内側から広がる香りって何?
消化器系に優しい香気成分の徐放?
待って。
今、普通に解析しようとした?
職業病。
後輩ちゃん、普通に商品開発の才能あるよね。
ある。
ただし監修必須。
監修必須。
監修なしだと、本人の善意で仕様が増える。
「少しだけ胃に優しくしよう」
レス 51〜100
その少しだけで新技術が生える。
怖い。
前の先輩ちゃんはさ、発想が飛んでるけど技術力で無理やり形にしてくるタイプじゃん。
うん。
後輩ちゃんは、先輩への憧れと人への感謝で形にしてくるタイプ。
企業的にはどっちが怖い?
両方。
即答。
先輩ちゃんは発明家。
後輩ちゃんは継承者。
継承者って言葉がもう怖い。
雛鳥が若鳥になって羽ばたく瞬間。
ただし親鳥がドラゴン。
子もドラゴン。
巣立ちじゃなくて竜の飛翔なんよ。
企業としては欲しい?
欲しい。
欲しいけど単独行動させたくない。
研究開発に置きたいけど、品質保証も隣に置きたい。
法務も置きたい。
倫理審査も置きたい。
赤ペン先生も置きたい。
最終的に赤ペン先生に戻る。
赤ペン先生、人材価値がどんどん上がってる。
赤ペン先生はプロジェクト管理、リスク管理、感情ケア、ブレーキ、通訳ができる。
強すぎる。
たづなさんも今回はすごいよ。
倒れた後にちゃんと添削してる。
上司として理想。
「発想を潰さず、危険なところだけ修正する」
これができる人材は貴重。
しかも最後に感謝まで返してる。
後輩ちゃん、絶対嬉しい。
そして次も頑張る。
そこが危険。
でも新人って、そうやって伸びるものだから……。
伸びる方向が上じゃなくて空なんだよ。
空ならまだいい。
大気圏を抜けるかもしれない。
食品開発から宇宙開発に行くな。
いや、あの子たちなら宇宙食作れる可能性ある。
やめろ。
宇宙で気絶したら危ない。
スピカさん成分なしでもスピカさん概念が生えるの、企業としてはどう扱うべき?
パッケージ色の連想リスク。
情緒誘導リスク。
概念混入リスク。
概念混入って何?
わからん。
でも必要な用語になりつつある。
白、水色、ピンクでアウトなら、パッケージデザイン部も巻き込まれる。
色彩心理の話じゃ済まない。
スピカさんに関係する連想を全部排除する必要がある?
無理。
無理だね。
レス 101〜150
だってウマ娘側が勝手に連想するから。
本人不在、成分不在、香り普通。
それでも発動。
概念災害。
でも疲労回復はする。
だから商品価値があるのが厄介。
安全版作れない?
スピカさん連想を排除し、相乗効果を制御し、後発香りを明記し、単体摂取推奨にすればいけそう。
普通に検討するな。
でも、普通に売れると思うんだよ。
運動後の塩レモン苺スティッククッキー。
名前は?
リカバリースティック。
普通。
普通が一番大事。
ただし三本セットで食べると?
内側から癒し。
その機能を消せ。
いや、そこが売りでは?
企業倫理。
食品安全。
でも疲れた社員に配りたい。
わかる。
残業中に食べたら?
寝る。
それはむしろ良い。
残業を止めるクッキー。
働き方改革商品。
「食べた社員が気持ちよく退勤するクッキー」
売れる。
売るな。
でもさ。
後輩ちゃん、ちゃんと「たづなさんに感謝したい」から始まってるのがいいよね。
いい。
商品開発で一番大事な「誰のために」がある。
対象者の課題も見えている。
忙しい、疲れている、でも胃に負担はかけたくない。
マーケティングできてる。
ユーザー理解がある。
プロトタイプも作れる。
改善点も受け入れられる。
一人前では?
一人前です。
なお出力。
火力が高い。
新人が一人前になる瞬間っていいよね。
雛鳥が若鳥になって羽ばたく瞬間。
ただし羽音が重低音。
翼膜が見えてる。
口から火が漏れてる。
ドラゴンじゃん。
でもかわいいドラゴン。
かわいいから困る。
企業の採用担当としては?
レス 151〜200
欲しい。
研究開発としては?
欲しい。
品質保証としては?
事前相談して。
法務としては?
事前相談して。
現場としては?
試食したい。
現場ァ!
でも疲れ取れるんでしょ?
気持ちはわかる。
たづなさんが無事だったから言えるけど、今回かなりいい回だった。
成長回だった。
後輩ちゃんが自分で考えた。
たづなさんに確認した。
たづなさんが添削した。
感謝も伝わった。
美しい。
問題は途中で気絶が挟まること。
それはいつもの。
いつものにするな。
次は改善版かな。
やめろ。
でも改善版は見たい。
わかる。
付箋の下に隠れないように、重要事項を大きく書く後輩ちゃん。
成長。
後発香りを避けるため、最初から香るようにする後輩ちゃん。
成長?
三種類の組み合わせ表を作る後輩ちゃん。
成長。
四種類目を追加する後輩ちゃん。
進化。
進化するな。
羽ばたいた先でまた巣を作り始めてる。
ドラゴンの巣。
宝物はノート。
かわいい。
かわいいドラゴンなら仕方ない。
仕方なくない。
結論。
後輩ちゃんは一歩成長した。
結論。
たづなさんは教育者として強い。
結論。
商品化の可能性はある。
結論。
単独試食は禁止。
結論。
付箋の下に重要事項を書くな。
結論。
新人が羽ばたく瞬間は尊い。
ただし飛んだ影が地面を覆った時は避難すること。
ドラゴン前提の避難訓練やめろ。
でも必要かもしれない。
企業人としては拍手したい。
危機管理担当としては震えたい。
つまり、いつもの感情。
レス 201〜250
期待と恐怖。
新人育成の醍醐味だね。
新人育成ってこんなだったっけ?
たぶん違う。
でも、いいよね。
うん。
いい。
ドラゴンでも、羽ばたく瞬間は綺麗なんだよ。