第22話 幕間 不愉快です。帰ります
【緊急】菊花賞特番、見た?
レス 1〜50
見た?
見た。
何あれ。
どこから?
全部。
最初は普通に楽しみにしてた。
菊花賞特番だしね。
ミホノブルボンさん三冠かかってるし。
スピカきゅん出るし。
本音が出た。
でも始まってすぐ「あ、これ変だな」ってなった。
スピカきゅん、最初はちゃんと番組に合わせようとしてた。
司会が振る。
スピカきゅんが話そうとする。
評論家が数字で被せる。
アイドルが軽くまとめる。
この繰り返し。
ウマ娘評論家って名乗ってる人、ずっと格付けと勝率の話しかしなかった。
数字も大事だけど、それだけじゃない。
スピカきゅんが話したかったのは、走ってる子本人の話だよね。
どれだけ積み上げてきたかとか、どこで苦しい走りをしたかとか。
テレビ側は話題性が欲しかっただけに見えた。
三冠。
男性アイドル。
話題のスピカ。
素材扱い。
それが嫌だった。
スピカきゅんがアイドルの引き立て役みたいに座らされてたのも腹立つ。
「今話題のスピカさん」って紹介から違和感あった。
スピカきゅんは話題だから歌ってるんじゃないのに。
番組全体がウマ娘を見てるようで見てなかった。
スピカきゅんだけが見てた。
だから浮いてた。
浮いてた方が正しかった。
途中から表情が固くなっていったの、つらかった。
怒る前にまず我慢するんだなって思った。
何回も飲み込んでた。
でも最後は飲み込まなかった。
そこが今回の全部。
【低い声】スピカきゅん、怒る
レス 1〜50
スピカきゅんの低い声について。
まだ心臓が戻ってない。
普段あんなに柔らかい声なのに。
「すみません」って言った瞬間、空気変わった。
怒鳴ってないのが逆に怖かった。
静かだった。
本当に怒ってる人の声だった。
「あの曲は、僕がウマ娘へ捧げるために歌った曲です」
そこ。
メイクデビュー守られた。
というか、私たちへ贈った曲だって言ってくれた。
無理。
健全に焼け。
健全に灰です。
男性アイドルの「僕らが歌ったらもっと広まる」みたいな流れ、本当に嫌だった。
悪気がない感じなのが余計にきつい。
勝手に触るなって思った。
曲そのものじゃなくて、曲に込めた敬意を雑に扱われた感じ。
スピカきゅんもそこに怒ったんだと思う。
人気取りに使うな、ってことだよね。
ウマ娘を見てない人が、ウマ娘のための歌を利用しようとした。
言語化が痛い。
でもその通り。
その後、ミホノブルボンさんの話に戻したのも良かった。
怒りだけで終わらなかった。
菊花賞の話を、ちゃんとレースの話に戻した。
「不愉快です。帰ります」
今年の名言。
名言にするな。
でも一生忘れない。
帰り方も静かだったよね。
椅子を乱暴に引いたりしなかった。
頭下げて、静かに出ていった。
怒ってるのに、雑じゃなかった。
そこも刺さる。
【メイクデビュー】あの曲は誰のものか
レス 1〜50
あのやり取りで一番大事なのここだと思う。
メイクデビューを誰にも歌わせない、じゃないんだよね。
そう。
スピカきゅん、前から言ってた。
いつかウマ娘のみなさんにも歌ってほしい、って。
それはわかる。
でもスピカきゅんにも歌ってほしい。
今は真面目な話。
ごめん。
最初はスピカきゅんの曲だと思ってた。
でもあの人は最初から、ウマ娘へ贈る曲として出してた。
だから私たちが口ずさむのは、きっと嫌じゃない。
むしろ喜ぶと思う。
でも雑に使われるのは嫌。
そこが線引き。
流行ってるから歌う。
数字が取れるから歌う。
人気が出るから歌う。
それは違う。
この曲で眠れた子がいる。
もう一度走ろうと思えた子がいる。
デビュー前に聞いて泣いた子もいる。
そういう曲なんだよね。
広まればいいってものじゃない。
誰が、何のために歌うかが大事。
スピカきゅんが怒ったの、そこだと思う。
曲だけじゃなくて、曲を受け取った私たちごと守られた感じ。
泣く。
泣いてから寝ろ。
メイクデビュー聞いて寝る。
それはもう日課。
最近、寮で口ずさむ子増えたよね。
増えた。
朝練前に小声で歌ってる子いる。
自分で歌うと「頑張ろう」ってなる。
スピカきゅんが歌うと「頑張っていいんだ」ってなる。
その違い、わかる。
つまり両方必要。
自分たちで歌うメイクデビューも必要。
スピカきゅんが歌うメイクデビューも必要。
解決。
スピカきゅんの負担が増える。
すまんスピカきゅん。
【菊花賞】三冠だけの物語じゃない
レス 1〜50
番組でスピカきゅんがブルボンさんを褒めたところ、良かった。
ミホノブルボンさんがすごいのは当然。
無敗二冠で菊花賞。
三冠に王手。
普通に歴史的。
スピカきゅんもそこはちゃんと認めてた。
そこからライスシャワーさんの名前を出した。
「ただの挑戦者ではないと思います」
ライスさんの走り、ちゃんと見てる人の言葉だった。
長距離での怖さを見てる。
小柄で控えめだから見逃されがちだけど、あの子本当に強い。
青い炎って言われるのわかる。
ミホノブルボンさんを下げずに、ライスさんも上げた。
それが大事。
でも世間はどうかな。
もしライスさんが勝ったら、三冠を阻んだ子って言われる。
この世界なら言われる。
勝つこと自体は悪いことじゃないのに。
レースなのに。
だからスピカきゅんが先にライスさんの名前を出したの、大事かも。
勝ってもおかしくない実力者だって言った。
空気じゃなくて走りを見ろってこと。
あと、他の出走予定の子にも触れてたよね。
普通はブルボンさん一色になる。
でもスピカきゅんは、他の子も見てた。
位置取り次第で怖い子がいるとか言ってた。
あれ聞いた出走予定の子、絶対燃えたでしょ。
某出走予定の子、番組後に自主トレ追加しようとしてトレーナーに止められてたらしい。
寝ろ。
でもわかる。
「どうせブルボンでしょ」じゃなくて、「君にもレースを動かす力がある」ってことだもんね。
言語化やめて。
泣くから。
ブルボンさんの三冠も見たい。
ライスさんが届くところも見たい。
他の子の意地も見たい。
一着は一人だけ。
つらい。
だから、勝った子も届かなかった子も、って言葉が必要なんだと思う。
刺すな。
【目撃】ミホノブルボンさん、尻尾
レス 1〜50
重くなったのでかわいい話していい?
いいよ。
ミホノブルボンさん、スピカきゅんに褒められてた時。
うん。
尻尾がちょっと動いてた。
え。
ほんの少し。
でも動いてた。
かわいい。
あの人、表情は変わらないのに尻尾でバレる時ある。
ブルボンさんのファンです。
知ってた。
でもスピカきゅんが見てたのは、才能だけじゃなくて努力の方だったと思う。
そこを褒められたら嬉しいよね。
ライスさんの方は?
目撃情報少ない。
あの子、注目されるの苦手そうだし。
でも名前を出されたことは届いてると思いたい。
怖さもあるだろうけど。
とりあえずブルボンさんの尻尾を心の支えにする。
助かる。
【配信】スピカきゅん、帰宅即説明
レス 1〜50
来た。
本当に配信始めた。
タイトル「先ほどの番組について」
もう誠実。
始まった。
頭下げた。
急に席を立ったこと謝ってる。
謝らなくていいのに。
でも謝るんだよね。
番組進行を乱したことは自分が悪かったって。
でも「あの場で話したことは、僕の本心です」って言った。
撤回しなかった。
安心した。
謝るところと譲らないところを分けてる。
大人だ。
メイクデビューの話してる。
「誰にも歌わせたくないわけではありません」
うん。
「むしろ、ウマ娘のみなさんには歌ってほしいです」
そこはわかる。
わかるけど。
でもスピカきゅんに歌ってほしい。
コメント欄も同じ流れで草。
解釈一致だけど願望が不一致。
願望って言うな。
「同じ思いを持って、ウマ娘のみなさんへ敬意を込めて届けたいと思ってくれる人なら嬉しい」
ここ大事。
禁止じゃない。
独占じゃない。
敬意の話。
あの番組で一番欠けてたやつ。
敬意。
「数字が取れるから、人気が出るから、という理由だけで使われるのは嫌です」
言ってくれた。
守られた。
歌だけじゃない。
私たちのことも守られた感じがした。
あの曲、ただの流行りじゃないんだって改めて思った。
私たちへの贈り物だった。
スピカきゅん、コメント読んで困ってる。
「えっと、センターは僕ではなくて……」
かわいい。
でも譲れない。
譲れ。
レースだと先頭は絶対譲らないのに、スピカきゅんにはセンター譲るの草ってコメント拾われた。
拾われたの!?
スピカきゅん固まってた。
「え、そこは勝ったウマ娘の方が……」って困ってた。
かわいいけど不憫。
でも今日の配信見て、ウマ娘が歌うってことも少し考えた。
歌いたいというより、大事にしたい。
レス 51〜100
自分たちのために贈られた曲なら、自分たちも雑に扱いたくない。
それがスピカきゅんの言ってることなのかな。
たぶん。
ちょっとだけ届いてる。
よかったねスピカきゅん。
でもスピカきゅんにも歌ってほしい。
すまんスピカきゅん。
配信終わった。
最後まで誠実だった。
心配をかけてすみません、って言ってた。
心配した。
でも怒ってくれてありがとう。
菊花賞、どうなるんだろう。
ブルボンさんにも勝ってほしい。
ライスさんにも届いてほしい。
他の出走予定の子たちも、全員自分の走りをしてほしい。
一着は一人だけ。
だからスピカきゅんの歌が必要なのかも。
スピカは謝った。
けれど、曲に込めた想いは取り下げなかった。
あの曲は、誰かの人気取りの道具ではない。
ウマ娘たちへ贈ったものだ。
そして、同じ思いを持つなら、歌ってほしいものでもある。
同時に、彼は菊花賞を三冠だけの物語にしなかった。
ミホノブルボンを称えた。
ライスシャワーを見た。
そして、他の出走予定のウマ娘たちにも、それぞれの走りがあると語った。
その言葉は、静かに火をつける。
自分も見られている。
自分にも、レースを動かす力があるかもしれない。
そう思ったウマ娘たちが、その夜、少しだけ長くトレーニング場を見つめたことを、スピカは知らない。
ウマ娘掲示板は、その夜も燃え続けた。
低い声。
誠実な謝罪。
譲らない一線。
ミホノブルボン。
ライスシャワー。
そして、菊花賞を走るすべてのウマ娘たち。
スピカの言葉は、多くのウマ娘たちを救った。
けれどその一方で、彼自身の眠りは浅くなっていく。
彼だけが知っている名前と、彼だけが知っている歌が、夜の中で静かに鳴っていた。